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皇后陛下の御前で演奏 その3

舞台袖に移動したときに、報告が入ってきました。

「OK」

よかった。これで心置きなくできます。

いよいよ出番です。合唱団を入場させ、私も舞台に出て行きます。不思議と緊張しなかったんですよね。客席を見ると、淡いピンクの着物を着た美智子様が眼に入ってきました。が、あまり気になりません。挨拶をした後、合唱団の方を振り向くと、みんなの顔がこわばっています。まずいな・・と思い、笑顔を作るよう合図をし、1曲目に入りました。

1曲目の「相聞」は、内藤濯がフランス留学をしたとき、日本で留守を守る奥様との詩をやりとりを曲にしたものなのですが、鐘の音の後奏が印象的な、とても良い曲です。演奏時間は短いのですが、今後多くの機会に歌われる曲になるのではないでしょうか。お気に入りです。

2曲目の「月光」は、サン=サーンスの歌曲なのですが、内藤濯が日本語訳したものです。どうして、このような名曲が埋もれていたのか不思議なくらい、和声が綺麗な素晴らしい曲です。少し日本語が古く、いまひとつ歌詞の意味が掴めなかったため、高校で国語の教師をしている弟に現代訳をしてもらったという経緯があります。ただ、歌詞の言葉の選択や並べ方は素晴らしく、曲に合っています。これも今後多くの機会で歌ってほしい曲ですね。

3曲目のシューベルトの子守唄。「ね~~むれ~~ ね~~むれ~~~」で有名な、誰でも知っているであろう曲ですが、この訳も内藤濯なのです。あるきっかけで、この曲の歌詞を調べたのですが、2番の最後が、今の楽譜では「眠れよや」となっています。が、オリジナルは「眠れやよ」であることが判明しました。知っておくとよいかもしれません。

3曲目まで無事に終わり、いよいよ最後の曲「星の王子の・・・」です。

この曲は、伴奏がとてもシンプルに出来ているので、逆に難しい。メロディは、とても優しく・美しく、フランス風の音楽のようです。と、文字で言っても伝わらないのでしょうが(笑) 楽譜は、筑摩書房から出版された、今回の会の主催である内藤初穂先生の書籍「星の王子の影とかたちと」に収められており、著作権協会の登録もされているようなので、興味のある方は、見てみてください。
元々は歌曲なのですが、今回の初演は、藤原先生が女声合唱に編曲したものを演奏しました。構成の前半部分は、最初は全員のユニゾンで歌うようになっていたのですが、元々は歌曲であることを考慮し、藤原先生と相談し、メッツォソプラノのソロにしました。このほうが結果的には良かったと思ってます。後半部分は、女声3部合唱で、メロディを各声部に分割して歌わせつつ、ハーモニーを作っていきます。

演奏はあっという間でしたけれど、この歌を世に出すという重責を無事終えることができました。

いつもの演奏会であれば、指揮棒を譜面台に置き、挨拶して、カーテンコールを何回かやって終わりなんですが、まだ、重要なお仕事が・・

客席の方を向き、作曲者の紹介をしなければなりません。私が美智子様に手を差し延べる仕草をすると、多分、お付の方は紹介があることをわざと黙っておられたのでしょう、ちょっと驚かれたご様子で、しかし、すぐその意味を察しられたようで、すくっと席をお立ちになり、挨拶をしてくださいました。会場は割れんばかりの拍手。最初は無理だと思っていましたが、やってよかった。

アンコールとして、もう1回「星の王子の・・・」を演奏し、会は無事に終了。会場の雰囲気もあたたかく、とても良いコンサートになったと思います。

いつもの演奏会であれば、着替えて、よっしゃ~~飲みに行くぞ!!となるのですが、今回は、ある意味もっとも緊張することが待っていたのです。


続く

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